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2016年7月涌井 駿
星たちのあそび
ジャイサルメールまで六時間のバス移動をして到着しました。汗と埃の匂いをめい一杯身体に吸収して降りた地は想像以上に砂埃が舞っていて砂漠の中のオアシスかと期待していた僕は少しがっかりしました。けれどその期待はずれの雰囲気も身体に染み付いた汗の匂いもシャワーを浴びれば綺麗サッパリ流れてしまいました。お湯が出ない水だけのシャワーも、気温が40度もあるこの土地ではなんだかいい気がします。町には犬の代わりに豚が沢山いてそこら中豚たちが闊歩していて、もののけ姫みたいです。汗かきべそかきの僕は暑くて全く外を歩く気がしません。
ジャイサルメールの目的は砂漠へいくことでした。砂漠と言う砂漠を見たことのない僕は他の惑星に行くかのように興奮していました。僕らは夕方ジープに乗り込み砂漠のある方面まで40分程車を走らせました。荒野の途中、大きなの下が待ちわせ場所になっていました。車が樹の下まで着くと丘の向こう側からラクダを連れたラクダ召いがゆっくりと現れました。近くまで来ると想像以上にラクダが大きくて驚きました。ノソノソと歩く様は気だるさを通り越して「人生急がず行こうぜ」と言われているようでした。ラクダ召いの合図できちんと地面に伏せ僕らはラクダの背中にまたがり、そして合図とともに起き上がるラクダ。後ろ足から立つため立ち上がる感覚はロデをに乗っているのと似ていました。なかなか勢い良く立ち上がるため落馬ならぬ落駝(らくだ)しないか心配にもなりました。
そんなことを考えていたら砂漠についてしまいました。思っていたよりも小じんまりしていた砂漠は故意に作られたのではないかと思うほど砂漠で砂漠ではなかったです。この砂漠で一晩過ごすのかと思うとやや気が引けてきましたが何事も経験、意を決して腰を下ろしました。
腰を下ろしスペインやイタリアからきた人々と雑談をしていたらラクダ召いがとても美味しいチャイを淹れてくれました。なにか薬が入ってるんじゃないかと疑う程美味しいチャイでした。鉄のコップの汚れも砂埃も気にならないほど美味しいチャイでした。どの位美味しかったかと言うと、夏の海で銛を持ち素潜りで魚や蛸を取りに行き2、3時間のバトルの末なにも収穫がなく戻ったキャンプ場で食べる日清のカップヌードル。その位美味しいです。身体に染み渡る美味しさです。脳が「美味い!」と叫んでいました。思わずおかわりを求めたら少ししだけ淹れてくれました。