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2014年7月岸本 絢
山路を登りながら、
度重なる停電、上下水道の不備、整備のされていない道路、充満する排気ガス、、、
今まで訪れた中でも群を抜いてインフラ整備のなっていない国、ネパール。しかしそこに流れるゆったりとした時間、好奇心を掻き立てる街並み、美味しいご飯、そして何よりその人の良さによって、この国に対する私のイメージは最高のものとなっております。
こんばんは、8ヶ国目ネパールはカトマンズより岸本です。メンバーで唯一、病院にかかっていない人になってしまいました。不調であることも気付かないくらい鈍感なのでしょうね、相変わらず元気にしています!
さてここネパールでは被写体の関係上、作品制作のための撮影がないということで、2週間丸々観光というスケジュールの私。朝起きてコーヒーをすすりながら、あっ今日はここに行ってみよう!みたいなスタンスで行動しています。この旅が始まってからというもの、こう言う目的地選びをしたことがないので、まぁ気が楽なこと。また、普段は撮影でいっぱいいっぱいの生活をしているので、被写体がなければ観光スポットと呼ばれる場所にわざわざ赴くことはありません。作品ベースの旅なのでもちろんこれが当たり前。けれども時には普通の旅行もしたい!ということで溜まった観光欲を解消すべく、カトマンズ市内をぶらぶらとお散歩したり、市内からバスに乗って日帰りできる距離にある街を訪れたりしています。
今回はその幾つかの街の紹介をしよう!と思ったのですが、
第二回スクーリングまで残り1ヶ月を切った今、旅と写真について考えることが多いのでそのお話を書こうかと思います。観光のお話も、すぐ書きますね。
旅が楽しいのは、旅をするといつもと違った風景が目の前に広がるからであり、異なる慣習や文化に触れることができるからであり、また新たな出会いが待ち受けているからなのだと思います。そして非日常の世界に飛び込んでいる感覚が旅を面白くしているのだとも思うのです。
しかし、半年も旅を続けていると、旅という非日常はやがて日常と化します。もちろん国が変わる度に言葉も食事も人も、何もかもが変わります。けれどもその差異が生じるということさえもが当たり前となり、この FWをスタートした時の衝撃や旅自体へのモチベーションとやらは何処へ?と言った感覚に陥るのです。いや、それすらも気付かずに過ごしていたりもしますね。旅、本当に楽しめているのかな、なんて思ってみたり。
写真が面白いのは、撮れば写ってくれるからだと思うのです。同じ物を撮っていても、違う人が撮ると全く違って見えるのも楽しいところ。撮る瞬間に見ていた景色が撮り終わって見返してみると全然違う画になって写真に出てくるところも面白いし、カメラを持って歩いていると目の前の風景も決して在り来たりではないと認識させてくれるところもいいところだと思うのです。
まだまだたくさんありすぎてここに全部は並びきれませんが、実は本来楽しいはずの写真が、半年間作品のことを考え続けていると、自分の理想の画を追い求めたり、作品を作るということを意識しすぎたりして、苦行の様に思えてきたりもするのです。甘ったるいこと言うな、半年は作品に向かって突っ走れといわれるのもよくわかるのですが、なんだか引っかかるのも事実。私、本当に写真好きなのかな?なんて考えたりもするんですよね。
色んな疑問を抱えながら、一人でふらふらとバスに乗りこみ降ろされた街を観光。
お寺でお参りして、可愛いお土産屋さんをみて、また街を歩いて。高台に登って景色を眺めて、ローカル食堂に入って、現地の人たちとお喋りして。作品のことは少し頭の隅に置いて、観光に徹していました。また普段は建物を被写体に撮っていて、現地の人とゆっくり話すこともないのでそういう時間も大切にしながらマイペースに歩いていました。
けれども気付くとコンデジで写真、撮ってるんですよね。どう撮れば面白いかな?とかこっちから撮った方が格好いいかも?あと何分くらい待てば良い光が、とか自然と考えちゃってる自分がいつの間にかいるんです。しかも折角街を撮るなら、現地の人の姿も!とか調子に乗って撮っていると気がつけばネパール人女子たちのお家に呼ばれてご飯をごちそうになったり、現地のおばちゃんに呼ばれて田植えの手伝いをさせられたり、作業中のおじいちゃんに手招きされて伝統工芸のろくろ回しを体験したりしてるのです。
そこで気付いたんですよね。旅、案外楽しんでるし、写真、結構好きなんだなって。そして抱いていた疑問は何の意味もなかったなって。そう、夜に一人で考え事していても、ろくなこと思い浮かばないんです。笑
けれども、自分が本来やりたかったこと、好きなことを、改めて実感できてそれはそれで良かったのかな?なんて考えたりもしています。もちろん作品を撮るための旅なので辛いこともたくさんありますが、それはそれ。写真も旅も欲張って、どれだけ楽しめるかは自分次第だな!ってことを、作品のための撮影がない、ここネパールで思い知らされたのでした。
ネパール広報部長に任命されたにも関わらず、何のブログ書いてるんだって文句が来そうなのでこの辺でやめておきます。次回、早急にカトマンズ盆地紀行を載せたいと思います。おやすみなさい。