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2021年10月岡 杏里

藍はすごかった

藍染は江戸時代に庶民の間に普及し、奢侈禁止令(武士、町人に対し布地の種類から染め色までを指定した法令)が発令された中でも藍は禁止されなかった為、町中に藍が溢れていたそうです。
明治初頭、来日した英国人科学者アトキンソンが、その様子を書物で「ジャパン・ブルー」と称した事で当時の海外の人々にとって、藍色は日本を象徴する色でした。

しかし、日本人にとってこの日本の藍の持つ魅力は、その色の美しさだけではありません。
藍染の持つ効果効能は多様です。

一つは殺菌効果。傷を負っても殺菌効果で化膿しづらく、又止血効果もある為、古くは武士にも好まれたそうです。

もう一つには解毒作用。「藍職人は病気知らず」とも言われる程、古くから薬として用いられてきました。葉の部分は煎じて飲めば解熱やふぐなどの解毒に、生葉の絞り汁は火傷や口内炎などの炎症に効きます。

防虫効果もあり、大切な着物は藍染の風呂敷に包み保管されていた他、乾燥した藍の葉は箪笥に入れれば虫に食われないそうです。

その他にも抗菌、汗等の消臭、保温、紫外線カット、虫除け、防火、生地の強化、栄養等々、その効果は数えきれぬ程です。
これらの効果は洗濯を繰り返しても落ちることがありません。色も移りません。

そして原料も染料になる過程でも科学薬品を用いない伝統的な本藍染は、皮膚に触れても体内に入れても良く、又染色の過程で排出する水も環境に害がなく自然に帰すことができる。
自然との循環の形が成立し、又多くの効果効能もある藍は、古くより日本人の生活には身近で欠かせないものだったのです。

近年だと、コロナ禍で抗菌や消臭作用のある藍染マスクの人気が上がったそうです。
また藍は栄養満点でスーパーフードとしても再注目されています。食卓に日常的に藍が並ぶ日も遠くないかもしれません。
皆さんも是非、藍を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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