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2018年7月山口 宗一郎
ロストトゲット
こんにちは。
七月十五日にネパールに入国して、カトマンズに降り立ちました。降りたった場所は飛行機でデリーからわずか1時間半ほどの場所ですが、国が変えるのか街が変えるのか肌の色や宗教もそんなに離れていないのに地球の反対側に降りたような空気感でした。デリーだけでなくインドの空港ではどこかしこも張り詰めたようでしたが、カトマンズでは唯一それを感じさせるのが軍服姿の兵士と兵士の所持する銃の主張だけです。インドでも兵士の姿を目にしていましたが、ただの要因の一つにすぎませんでした。この違いは空港だけでなくカトマンズの街にも広がっていました。
ホテルについてから少し休んでクラスメイト達とATMに行き、近くの日本食料理屋へ。インドでは外食を控えホテルで食事を取るようにしていたのですがお腹を壊してしまったので、久々の日本料理は程よく胃腸に馴染むように優しく、更にインドのスパイスに統合されてしまった味覚を解いて馴染みのある形へと帰してくれました。未だネパール料理に手を触れていませんが、これからどのように統合されていくのでしょうか。そしてホテルの部屋でサッカーW杯の試合を見て一喜一憂という終わりを迎えたネパール初日でした。
翌朝、昨夜の試合の熱に浮かされるように早朝に目を覚まし、ルームメートに迷惑をかけないように日のまだ出て来ぬ合間にホテルを飛び出したのですが、どこへ行こうとも思わず足に任せる散歩になりました。クロアチアサポーターの悲しみの涙なのかフランスサポーターの狂喜の汗なのかネパールでは昨夜の試合中から私が起きて少し経つまでに雨が降っていて、舗装をされていない道路では誰もが列をつくり蟻のように水たまりを避けて行進をしていました。そして、たどり着いた先では朝一が行われていて泥の上にビニールシートをひいて各々が思い思いの商品を売り始め、まだ早い時間だからか準備をする人もいる中街中が思い出したかのように活気をみなぎらせていました。街の要所要所に立つ寺院を回っていたのですがタイで買ったサンダルの緒が切れてしまいこの犬の糞尿にゴミ入り混じる泥に足をついて靴屋を目指すことに。
幸いなことに今さっき靴屋を見かけていたので戻るだけと思っていたのですが、その靴屋にはサンダルはなく売っているのは靴のみ。サンダル屋は更にこの道を戻らないとないと言われ渋々と引き返そうとすると並べた(というよりも山積みにした)ばかりの剥き出しの靴を同僚のように隣に座っていた人に任せ道案内をしてくれました。数十メートルついていくと自転車のカゴに積まれた野菜や果物が売られていたりするところに生活用品に並んでサンダルが(これまた)山積みにされていました。
腹に仕込まれているアラームも鳴り始め変えることとなったのですが、現代機器は太陽に変わりしばしの眠りについていたので道を失い、歩いてきた道も人の闊歩に飛び起こされたように姿を変えてしまい私だけが途方に暮れていました。とりあえず、日を見ながらなんとなしの方角を決めて歩くことに。するとタクシーも走る大きな道路に辿り着きタクシーを捕まえて無事にホテルへと戻りました。運の良いことにホテルの方角に向けて歩いていたらしくこの大通りを進んで二分ほどで昨日利用したATMの前を通り過ぎました。そして道路を挟んでATMの反対側にはビルが建っていて屋上にはネパールらしいフラグが。ATMを利用する友人を待つときにふとそのフラグが風になびいているのを見ていたのですが、あのフラグがまた私をここに帰してくれたのだと錯覚とも言える実感と感謝を朝の日差しでこの身に焼き付けるのでした。ただ道に佇みフラグを眺めている様な一瞬を、道路を忙しく流れる車の中で抱き朝の散歩は幕を閉じたのでした。
今回は、ここまで。
お読みいただきありがとうございます。
また次回の記事をご期待ください。
山口より。