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2016年8月小山 幸佑

In the Mood for Love

香港です。

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かつての九龍城を代表とする攻殻機動隊チックなオールドアジアンマンション群は老朽化と時代の流れによって徐々にその姿を消しつつあり、尖沙咀のフェリー乗り場から香港島のおもちゃのようなビル群が視界いっぱいに聳える。香港ディズニーランドは今年で10周年、街ではポケモンGOが流行りまくっていて人々の動線はめちゃくちゃ。当初ウォンカーウェイの「花様年華」のようなウェットでビビッドでセクシーな雰囲気を期待して行った自分にはいろいろな意味でカルチャーショックでもあり、それでも街を歩けば車道へ大量にせり出た多くの看板や坂だらけの道、テンポと威勢の良い会話とそこら中に漂う牛骨湯の香りとむせ返る湿度に、ここは香港なんだ、と実感させられる。実は憧れだった、いつか来てみたかった街。

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香港初日、同期の富永くんのお父様にお会いする機会があり、美味しい日本食をご馳走して頂いてしまった。おとうさんとの久々の再会に終始照れくさそうにしていたクラスメイトの姿が印象に残っている。母子家庭で育った自分は「父親像」というものについてあまり実感を持てないでいることをたまに自覚することがあったりするのだけれど、家族と離れて30年間海外で仕事をされながら、富永くんのような聡明で優しい立派な息子を育て上げた男の生き様は本当に格好良く、大切なものを守るために男の役割があることを知った。自分自身のこの先の人生について色々と考えてしまった。とにかく、良い夜だった。廣海さん、本当にありがとうございました。

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ところで、
香港では写真を続けてきた自分の自信や自尊心を揺さぶるような出来事があった。

…でも、結局、結果だけが自分を満足させてくれる。撮っている時だけ安らぎが得られる。このことに変わりはないし、それはとても幸福なことで、その幸福をただ追いかけることだけに集中できるこの時間は自分にとって、また自分の写真家としての人生において最高の贅沢であると思う。
 
 
大好きな写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの言葉をお借りします。
‘Your first 10000 photographs are your worst.’
「最初に撮影した1万枚の写真は最低」
 

撮り続けます!