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2022年3月桑澤 太郎

「懐かしい香り、生暖かい風」

飛行機は厚い雲を抜けようとしていた。
機体が大きく揺れる。沿岸の小さな灯りが目に入る。

沖縄に降り立った瞬間感じた蒸し暑さは
5年前インドへ行った時の記憶をふっと蘇らせた。
風は生暖かく、匂いがある。春の心地よさというのは、とっくに過ぎ去ってしまったようだ。

もちろん迎えに来る人はいない。
1人でモノレール乗り場へ向かうが、その前に一服する。

宿に着いて自分のベッドを探していると隣りのベッドのおじさんと目が会う。地元でもないのに、我が物顔でようこそと言ってくるのが少し気にかかるが、悪い人ではなさそうだ。

1人で外へ出る。そうだ、国際通りの方へ行こう
10分ほど歩くと灯りが増えてくる。
新宿のような雰囲気を想像していたので人通りの少なさに少し驚いたが、目を凝らせば店の中には多くの人が集まっている。

どこかに入って誰かに話を聞こうと思ったが、あまりに疲れていた為今日は一旦帰る。

ついに、ついに沖縄にやってきたのだ。

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