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2016年11月秋元 直登

心の声

ラオス、ホームステイ先にて。

ペンちゃんのお父さんが森の中で魚の養殖をしているので、挨拶がてら遊びに行く事になった。農業用のトラクターに乗り込み、村を後にする。道は直ぐにアスファルトからダートに変わる。段々と緑が深くなり、険しい山道へ。

「え、すぐ着くんじゃないの?」そんな妄想も虚しかった。

山道は道幅が狭く、急勾配。そして、昨日の雨のせいもあってタイヤが泥にスタックしやすかった。その度に皆でトラックを押して、なんとか脱出。そんな事を繰り返していたら2時間程経っていただろうか。ようやっと森の養殖場に着いた。

養殖場の脇に山小屋があり、そこで一息付く。誰かの存在に気づき、顔を上げると、小屋の中から一人の老人が出てきた。一目見た瞬間、何故だか凄いオーラを感じて、すぐに彼の写真を撮りたくなった。話を聞くと、彼はペンちゃんのおじいちゃんだった。彼は人里離れ、この地で養殖場の守をしている。年は90歳だが、自分の85歳のじいちゃんよりも生き生きとしていた。彼の表情や顔のしわから人間性や、人生経験が溢れているように伺えた。どうしても彼を撮りたい。撮影交渉をしてみると、すんなりOK。だが、これから直ぐに養殖場から離れた自分の家に帰って休むというので、あまり時間は無かった。最初はその場でポートレートを撮って終わらせるつもりが、流れでおじいさんの家まで付いていく事に。家へ向かって歩くおじいさん、それを追うカメラ小僧。段々と雲行きが怪しくなってきて、一雨来そうだ。雨でカメラが壊れやしないか心配だが、まだ大丈夫。

彼の存在、その後ろに彼が生きている自然が広がっている。最高だった。もっとじっくり時間を掛けて、長期的に彼を撮りたいという気持ちで一杯だった。だけど、直ぐ戻らなくていけない。刹那的な撮影だったが、なにか自分の心の衝動に従って撮影出来た気がする。スコールが来て、雨が上がる間の出来事だった。

 

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