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2016年8月涌井 駿
くノ一
上海ボーイは東京ボーイになり、フクシマボーイになっています。久しぶりに実家に帰ります。久しぶりと言っても半年位なんですが、家族には会えるときに会っておかないと会えなくなってしまいすね。
国々を回っていると何処の出身なのかと聞かれ「お母ちゃんの股からだ」と言えとタイ人に言われたのを思い出しつつもいつも「FUKUSHIMA」といいます。そうすると大丈夫なのかと聞かれます。地震の事なのか、原発のことなのか、色々思うんですが大丈夫だと答えるしかないと思うんですよね。僕なかんは避難地区ではないし、津波もなかったから、ほぼ大丈夫でしたが。
実家に着くと家族は相変わらずでした、それぞれしたいことをしていて弟には「アジアに行っていったい何が変わったのかな」なんて言われてしまいました。ばあちゃんはカレーやこずゆを作って待っていてくれました。お母さんは髪が長くなっていて、お父さんは痩せたと自分で言っていましたがあまり気づけませんでした。それよりも弟妹が会うたび成長していて毎回驚きです。妹にはオッパイができていてお兄さんは少し目線のやり場に困りました。なんせ猿みたいだった妹だったのでそんな彼女にオッパイがあると思うと少し困惑してしまいました。
(女になってゆく妹)
夕方飼い犬のモリゾウと散歩をすると自分の故郷を作るものが案外多いと気付かされました。
庭に水やりを終えた後のしっとりした匂い、家が建てられた田んぼ、ガゾリンスタンドの匂い、友達家族が住んでいたマンション、昔からある駐車場、いつも破られている網、遊具がなくなった公園、家から溢れる夕食の匂い、ゆらゆら揺れる大きな木、切り揃えられた木々、同じ場所にある自販機、不気味な家、角のゴミ置場。普段意識してみることのない景色が、実は僕らの小さな記憶や僕ら自身を作っているんだなんと思わされました。
実家に遊びに来てくれた高校の友人は素敵なお母さんをやっていてました。一緒に自転車に乗って高校に通っていたのに今ではもうお乳をあげるようになっていて、また別の次元で彼女の生活が進んでいてそうやってだんだん大人になって行くんだなと思うのでした。