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2016年8月藤林 彩名
close of the day
ある日夕方から夜にかけて撮影をしていると5、6人の地元の青年たちに声をかけられる。「もうすぐ暗くなるから帰ったほうがいい。」と言ってくれているようだった。これから長時間露光撮影をしようとしていたので、「OK,OK」と適当に受け流す。青年たちがいなくなった後、三脚を立てて撮影開始。真っ暗な中、長時間露光に挑戦していた。何回か撮影をしたがなかなか上手くいかず、6分間露光することにした。露光時間が3分を過ぎようとしていたとき、後ろの方で懐中電灯の明かりが見える。露光中だから余計な光を入れないで〜と心の中で願っていたが、その光はだんだんとこちらに近づいてくる。帰ると言ったのになかなか来ないから心配をしてくれたのか、近づいてきたのはさっきの青年たちだった。「何をしてるんだ?早く帰った方がいい。」中国語でそう言っているようだった。レリーズを持って、ただ立っているだけで何もしない私に青年たちは少し不信感を抱いているようだった。「だから何をしているんだ?」と青年たちは聞いてきたが、長時間露光の説明を中国語でするのはあまりに至難の技だった。説明できずにいると青年たちが露光中のカメラを勝手に触って写真を見ようとしていた。やっと露光時間が5分を過ぎていたのに…青年たちがガンガン懐中電灯で光を照らしている時点で、もうその写真は台無しだった。せっかく露光していたのに…私のテンションはかなり下がった。その写真の露光はさすがに諦めた。でも写真が反映されるのには、露光時間と同じ時間がかかる。それでも長時間露光がわからない青年たちは「だから何をしてるの?写真見せてよ〜」とカメラを触る。とりあえず待って。と言っても青年たちには伝わらない。心配をしてくれたのはわかるが、撮影の邪魔をされて、勝手にカメラに触られるのは嫌だった。勝手にカメラに触らないでよ。と青年の手を払いのけたが、それなのにまた勝手にカメラに触って、電源を切ったり点けたりする。触るのはダメだよ〜。と青年たち同士でじゃれ始める。もう私はかなりイライラしていた。「だから勝手に触らないでよ!」と日本語で強く怒った。すると青年たちの態度も変わり「何をしているのか知りたいだけ。僕たちは自衛隊員だ。110番通報をする。」と言いはじめる。そうやって揉めている間に写真の書き込みが終わり、青年たちに写真を見せる。「とりあえず暗いから帰ったほうがいい。」これ以上面倒なことになるのも嫌だったので、その日はとりあえず帰ることにした。結局、その日の長時間露光の写真はあまりうまくいかなかった。撮影時間が予定よりも40分早く終わり、20時に迎えに来てくれるタクシーの運転手を真っ暗な山の上で待たなければならなかった。暗い中で撮影をしている分には大丈夫だが、真っ暗で何もないところで何もしないで、待たなければならないのはなかなか心細かった。なんだか今日はついてない日だな…。でも毎回毎回撮影はそううまくはいかないか。次頑張ればいいさ。と自分に言い聞かせた。タクシーを待ってる間とても星空がきれいに見えた。