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2016年7月11期生引率スタッフ
109-112日目コルカタ・インド/Day109-112,From Kolkata, India
インド・デリーより引率 古市です。
インド・コルカタでの藤林彩名さんの撮影風景を取材させて頂きました。
本日はその様子をお伝えします。
藤林さんの写真の企画概要は『廃墟に残された痕跡や感じられる気配から、
かつてそこで生活をしていた人々の物語を紡ぎだす』です。
藤林さんはインドでの撮影地としてコルカタを選びました。
2年次にプランニングをしている際にコルカタに廃墟があるという情報を得て、
その都市を選択しました。
現地での撮影期間は4日間。
撮影地までの移動手段は国ごとで異なりますが、インドでの移動手段はタクシーと徒歩です。
撮影初日にまず藤林さんの撮影被写体である『廃墟』を探しに行きました。
ロケハンと言われるものです。
初日はだいたいの検討をつけて、地図を見ながら徒歩で向かいました。
徒歩で向かうのには、まずはその土地に慣れるといことと
移動中にも廃墟があるかもしれないという理由からです。
滞在しているホテルの場所からおよそ8キロの場所に本日の撮影予定地があります。
どこで撮影するのか、下調べはある程度日本でしていきますが、自分の足と目で探します。
コルカタの街中を歩くこと3時間、暑さと湿気と疲れにクタクタになりながらも
決して足を止めることなく探し続けました。
被写体である『廃墟』を発見しました。
レンガで立てられたお家のような建物でした。
建物の前には鉄の門があり、この門をくぐり敷地内に入るのはとても緊張しました。
朽ち果て、崩れ落ちたレンガ。
廃墟を木々が浸食し、薄暗く、鬱蒼とした森の中にいるようです。
地面はどこも湿っていて、どこからやってきたのかわからない大量のゴミと枯れ葉、
そしてたくさんの虫。
薄暗いその中は入っては行けない場所のような気がしてきます。
誰かいるかもしれない、何かあるかもしれないという恐怖心で心臓の音を聞きながら、
足を進めていきました。
早速撮影を開始しました。
その場所をよく見て、感じて、考えて、シャッターを切る。
自分が表現したい写真にする為に、冷静に考えてシャッターを押す。
何度も、何度も、考えながらたくさんシャッターを押し続けました。
廃墟の中は風の通りが悪く、じめじめとしていてその場所にいるだけで、
すぐに多量の汗が吹き出してきます。
ハマダラ蚊を媒介とするマラリアにかからないようにするために、
蚊に刺されないよう、長袖長ズボンで撮影をします。
ですので、体感温度はまるでサウナの中にいるかのような感覚です。
その場所にいるだけで汗が止まりません。
一緒にいた私は熱中症寸前でした。
藤林さんに、廃墟はどの国も似ていると思うのだけど
撮影していて飽きたりしないのかと聞いてみました。
「全然飽きないです。それぞれの廃墟から違った物語を感じとれるから。」という答えでした。
被写体を前にして、毎回興奮や感動を覚え、心が動く。
このことが写真を撮るために必要な「大切なことの一つ」なのだと改めて思いました。
廃墟に入るにはだいたい頑丈な鉄の扉や高い塀があり、そこに入ること自体がはばかられます。
誰がいるのか、何があるのか入ってみるまでわかりません。
廃墟を見つけられたとしても、そこに入るのは怖くないのかを聞いてみました。
「怖くなくはないですが、大丈夫です。どんな場所でも入っていきますよ。そこに廃墟があるから。」
と話してくれました。
藤林さんと一緒にいて驚いたことは、彼女の冷静で勇敢な態度でした。
どんな場所でも躊躇することなくどんどん入っていき、シャッターを押し続けました。
廃墟に住みついている犬5〜6匹に囲まれて吠えられた時も
すこしもひるまずに撮影し続けました。
アジアでは狂犬病の危険がある為、予防接種を受けて行くものの、
犬に囲まれ、ワンワンワンと吠えられる経験はとても恐ろしいものでした。
どんなことにもひるまず、前へ進み撮影をし続ける藤林さん。
そこには写真にしようとする強い意志が感じられました。
藤林さんの『廃墟』がどのような作品に仕上がるのかとても楽しみです。
写真は帰国後に実施される『帰国報告会でのスライドショー』
や『オリンパスプラザ東京にて開催される卒業作品展』で見る事ができます。
海外フィールドワークも残り約2ヶ月。
11期生8名が今日もどこかで撮影や撮影交渉、ロケハンをしています。
もしくは体調不良で思うように撮影ができていない学生もいます。
しかし、それぞれに様々な困難を乗り越えながら、一歩一歩進んでいるのだと思います。
残りの海外フィールドワークで、一枚でも多く写真が残せるように
一日、一日を過ごしてほしいと思います。