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2016年7月富永 諒
ピーター
チェンナイからムンバイに入る。
ムンバイは雨。
雨季ということもあり傘をさしている人たちとイギリス植民地時代の建物でロンドンを歩いているような気分になる。
そんなムンバイの街をロケハンがてら歩く。
歩く。
歩く。
すると・・・
「へーい!あーゆージャパニーズ?とーきょー?」
「グーグルマップを貸してくれないか?」
対向車線を歩くインド人が駆け寄ってきて声をかけてきた。
インドで強盗にあったことがある兄貴の話が頭をよぎる・・・。
「僕のケータイは使えない。Wi-Fiがないと・・・」
と断る。
「Wi-Fiのあるレストランに行こう」
一向に引く気配がない。
しかし、汗をかきながら必死に話しかけてくる彼に、耳をかたむける。
「パスポートを無くしてしまって・・・大使館を調べたいんだ・・・」
声をかけてきたのはピーター、インド系イギリス人らしく、母の実家を訪ねにインドへ来たらしい。
どうやら、デリーの実家へ向かう途中、強盗に遭ってパスポート、クレジットカード、現金を取られてしまったらしい。
LONDONという文字の入った、いかにもなTシャツに怪しさを感じながらも、「困ってる人をほっとくわけには」と一緒にWi-Fiが使える環境を探すことに。
しかし、これがまた大変。ムンバイの街にはそんじょそこらにWi-Fi環境があるわけでもない。
結局、ピーターと一時間くらいお店を探すことに。
やっとのことでお店を見つけ、ピーターの安心した顔に僕もうれしくなった。
大使館の電話番号を調べ、連絡することに。
お店から電話を借りて、電話をする。
つながらない・・・。
パスポートがなく、デリーまでのチケットが取れないピーター。
露骨にテンションが下がっている・・・。
ピーターが前を向く。
「電車ならパスポートがいらない!」
いいことに気づいたぞピーター!!!
ただお金が足りない・・・。
「貸してくれないか・・・」
!!!!!!!!!
金か!結局金なんか!
ということが頭によぎりつつも、自分が仮にこういう状況になったらと思うと、ほっとくことができなくなった・・・。
「ファーストクラスで5000ルピー。体が痛いから二等車は乗れない・・・」
借りるのにずうずうしいやつだと思いつつも、そうだなと納得してしまう。
しかし僕にはそんなに手持ちがなかった・・・。
「3000ルピーしかない」
と僕。
「わかった。二等車でいく・・・」
とピーター。
16:20の電車まで時間がない。
急いで僕のホテルまで戻る。
しかしピーター。強盗に足もやられたのか上手く走れない。
ホテルにタクシーで戻ることに。
ホテルの前で待っててもらい、お金を取り、ピーターの元へ。
「僕の兄へ今日の詳細をメールを入れてくれ。必ず送金するから」
とピーター。
別れのハグをして、ピーターはタクシーを捕まえに反対側の道路へ渡る・・・。
あれ・・・
ピーター・・・
普通に走ってない・・・
・・・
さっきまで足を押さえて走っていたのに、普通に走っているよ。
これは僕の見間違えかな。
ピーターはそのままタクシーに乗って、駅のほうへ向かっていった。
まぁピーターが無事にデリーへ着いていることを祈りつつ、僕もまたムンバイの街を歩き出す・・・
ちなみにピーターの兄からはまだ返事は来ない・・・。