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2016年5月藤林 彩名

海を眺めている

 

 

私はタイの南に位置しているプーケットという島にいる。

プーケットはエメラルドの海と真っ白な砂浜がとても美しい世界有数のリゾート地でもある。

こんな綺麗な海は初めて見たけど、タイに来てからふとした風景に既視感を覚える。

街を何気なく歩いていると東京に見えることがよくある。

道路は日本と同じ左側通行だし、セブンイレブンやファミリーマートみたいに日本企業もたくさん点在しているしで、

日本のことを思い出して少し帰りたくもなったりする。かと思えばトゥクトゥクが走っていたり、バイクはヘルメットな

しで平気で運転するし、屋台は日本ではありえない衛生環境だったりしてすぐに現実に引き戻される。

 

プーケットに3日前に訪れる前に私はある29歳のタイ人の女性と出会った。

バンコクのホテルでたまたま出会い、そこから現在までほとんどの行動を共にしている。

私は全然英語が話せないけれど彼女は英語が堪能でなんとか日々コミュニケーションをとっている。

片言の英語でFWについて話をして、私が20歳の日本人で女ひとりで行動をしていることに彼女は驚き、すごく心配をし

てくれて、別の場所で撮影をしているねねちゃんのことまで心配をしてくれた。

バンコクで出会ってからというもの彼女は私のことが心配でならないようで、ずっと世話を焼いてもらっている。

彼女はプーケットに住んでいてご飯を食べるときはいつもホテルに迎えに来てくれる。

ご飯はローカルなお店でいつも私のために辛くないものを頼んでくれる。

宿泊しているホテルも彼女がちょうどいい値段の綺麗なところをとってくれた。

帰りの飛行機のチケットも一緒に値段や時間を確認しながらとってくれて、ちゃんと予約出来たのかをカスタマーセンタ

ーにわざわざ電話までしてくれる念の入れようだ。帰りは空港までは行けないけれど朝迎えに来るシャトルバスまでは見

送りに行く。と言ってくれた。ここに書ききれないほど彼女には日々たくさんお世話になっている。彼女は本当に優しい

人だ。彼女は犬と子供が大好きで見かけるといつも嬉しそうに声をかける。どんな人にも明るく話をするような天真爛漫

な女性だ。出会って最初の方は私は彼女を警戒をしていた。初対面でこんなに心配してくれるのが不思議でならなかっ

た。でも彼女は見返りなど求めず無垢な気持ちで私に接してくれているのがわかった。色々なことで悩んでいたときに彼

女と出会えたことは私にとってかなり大きいことだった。海外フィールドワークが始まってからいつ人に騙されるかとド

キドキしながら過ごしてきた。ちょっとした金額をぼられることはあっても深いダメージを受けるほど騙されることはな

く、むしろ日本で過ごすよりもよくしてもらうことの方がよっぽど多い。この旅の中で出会った人たちには本当に感謝し

ても仕切れない。日本で過ごしてきた日々でも私は人には恵まれてきた。そのことが私は私にとっての自慢だった。旅を

する中でも人に恵まれるのは本当に嬉しいことだ。こんな薄っぺらい言葉しか出てこないのが悔しいほど。でも私は色々

な人に出会えることが心の底から楽しく思う。いつか今まで出会った人たちにはちゃんとした恩返しをしたい。