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2015年9月小野塚 大悟
夜中の…
時を遡って8月某日。
宿泊していたマレーシアのホテルで夜中の10時過ぎ
今までのホテルでは聞いたことがないような音が聞こえた。
夜、なかなか寝付けず、浅い眠りを繰り返している日々の中で、
やっとのことの思いで寝付けた僕は瞬間いらっとした。
まあドミトリーだからしゃあない。
あるよね。
と思ってやりすごすことにした。だけど、目が覚めて意識がはっきりしていくうちに
いや、ないない。こんな音はない。もしかして。
と、一つの予感が頭をよぎり、すぐさま布団から飛び出した。
その前日の夕方、いつも通り撮影を終えて宿に戻ると、気の良い受付のおっちゃんが
ディアゴ(初めて会った時からそう呼ばれている)、ベッドを移動してくれるかい?
と聞かれ、断る理由もないし、
いいよ。
と言って自分の荷物を取りに、以前居た8人部屋のドミトリーに戻ってみると
部屋は今まで見たこともないくらいの荷物で溢れかえっていた。
スーツケースやギターケースが高く積まれ
服や日用品が散乱していて、朝と状況が一変している。これは俺の居た部屋か?
っていうか俺居たベッドに既に人居んじゃん!
誰お前!俺の荷物は?!
ってな状況に陥っていると
受付のおっちゃんがロッカーの中に入っている荷物だけ持ってこっちへ来なさい的なことをいうので
指示に従ってついていく。
新しい部屋もそれなりに清潔とは言えない状況だったが、とりあえずベッドの上に
置いてあった私物の生活用品は既に移されてあって、最初から有無を言わせな状況にあったらしい。
その後新しいベッドに落ち着き、あの荷物の量とギターケースの量についてしばし考えを巡らした。
まあ普通に考えて、8人部屋を貸し切ったどっかのバンドがマレーシアに来てると考えるのが妥当ということで納得し、それ以上考えるのはやめた。
事件はその次の日の夜に起きた。
…この音はまさか、と思い上裸のままベッドを抜け出し、部屋のドアを開けた。
部屋を出て暗い廊下を進むほど音に近づいていく。
ホテルの宿泊客が飲食やコミュニケーションを取る為にあるような
それほど広くないコミュニティスペースに素敵な歌声が響いていのだった。
声と音の主は男性10余名から成るグループだった。
サウンドスケープが頭の中を過る、どこかの故郷の歌。
寝不足の体を起こされて、正直いらっとさせられたけど、
この時は既に
こんな起こされ方、最高!!ひゃっほー!
に心変わりしていた。
歌っている内容もわからないし、彼らの国のことも僕は知らないけど、
こうして一体になれる音楽ってすっーげえーーー、世界ってひれえーんだなーーー。
と、小学生並みの感想を抱いたのでした。
いや、まあ世界の広さを体感したのは間違いないです。
マレーシアに居ながら更に違う国の音楽を聞くってのは場所の確かさが揺らぐ様な漠然とした気持ちになりました。
その時の気持ちをうまく言葉にすることができません。
異邦から来た僕が、また地球の何処からか来た彼らとコミットしてるということを強く感じました。
それは彼らの音楽の中にある彼らの国を感じたからかもしれません。
そして改めて気づくのは、僕たちはどこにでも行けるんだなー
ということ。
一時間ほどの貸切コンサートが行われ、終始感動止まらず。
さらに眠れず。
まあいいや!となったのでした。
この動画はミニコンサート終盤の方です。
序盤の僕が叩き起こされた時にはタンバリンやトランペットまでもが共演していて、
下のフロアのお客がさすがにもう夜中だから
もう少し静かにやってくれと注文しにきて、その後しっぽり行われたのでした。