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2015年5月小野塚 大悟
Globalization
やっぱりマレーシアを侮っちゃいけない。
カンボジア、タイと過ごしてきてマレーシアは比較的涼しいし風も吹いてくれる。ただ、僕の撮影地の場合、砂をたくさん含んだ風で、夕方ごろになると腕はなんだかキラキラ砂で光ってるし、顔を拭うと服は茶色くなるけど。
そう、涼しいんことは間違いない。が、日差しというか照り返しというかその両方のおかげで僕の視界は常に露出+1補正されたように世界が白く見える。
照り返しというのもむき出しになった白い岩肌や、白い建物が多いから。
この現象は去年来た時から、「うおすげえ眩しい」と感じてたけど、月が変わっても、というかマレーシアにはそもそも季節なんかないから、やっぱ眩しいな懐かしいな、あぁ去年の眩しい記憶も蘇る、と。あえて言っておくと僕はなぜかマレーシアが好き。
やっぱ食事がおいしいからかな。カレーうまいし。
量多いし。
まあ、その日差しのおかげで頭痛がするわけです。
日々、頭痛と戦っています。
という、二行で終わる言いたかったことのために僕はマレーシアとカレーが好きっていう予備知識を皆さんにお伝えすることができました。
最早、そっちの方が重要だったりするわけですが、もう忘れてもらっていいです。
先日、撮影を終えホテルへの帰り道、ちょっとした驚きの光景を目にした。
夕暮れ時、昼間中はどこにいても掘削機やパワーショベルの音が聞こえる僕の撮影地も静まり始め、作業員たちもみんなバイクやらチャリやらに乗って自宅に帰っている、そんな和やかなムードが街全体に漂っている時、他のみんなと同じようにヘルメットを被って自分の荷物を抱え、和気藹々談笑しながら山に入って行く人たちがいる。車に乗せてきてもらった女性は両手に買い物袋を持って山に入って行く。おまけに山の小径の入り口には犬が座って待っている。
えーこの山の中に家があるの。
と驚くぐらい本当に山。というか森。
入り口から上を覗いてみたけど、道は真っ直ぐではなく視界は木に阻まれその先が見えなかった。
経済発展による都市への人口増加。そのための住宅地開発に携わっているのは、なんとそこの原住民の人たちだった。
長い間、森に囲まれ、そこで田畑を耕し、子を育んできた日々に突然変化が訪れる。
ここらへん一帯に新しい街を作るらしい。と。それには隣の山を削らなくちゃいけなくて、その作業に人員を募集してて金が出るらしい。と。
この作業に従事する前に彼らがどんな方法で収入を得ていたのか、もしくは得ていなかったのか、それは僕の想像の域を出ないけど、おそらくはこの作業に従事する以前よりかはもっと大きな収入を得ているはずで、そうすれば生活は変わり、文化は変わり、彼らはここを出ていくだろう。もしくはそれは強制的に行われるだろう。次は彼らの土地の番かもしれないのだから。
僕は、彼らが皆んなと等しく文明的になることが悪いと言うつもりはないが、森の中で歴史を引き継ぎ、言い伝えや文化を受け継いできた村があるその隣で、近代文明がいきなり来てがっちゃんがっちゃんやってる、まるでコインの裏と表のような対照的な景色に戸惑いを隠さざるを得ない。
そして、長い間培われてきた彼らの歴史や文化は、何も知らないブルドーザーやパワーショベルによって土と一緒に地面に埋められてしまうのだ。
なにもここだけに限った話じゃなくいつの時代も地球規模で起きていた事柄を僕がたまたま見てショックを受けているだけだが、目に見える物も見えないものも、確かに世界が平たくなっていく姿を目撃した。