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2014年8月山本 遼

【011】標高4225mからのスタート

「君は、日本人かい?」
「そうだよ。僕は日本人さ。」
「この部屋空いているんだけど、中国人やヨーロピアンなら一泊150元払ってもらっているんだ。」
「(((・・・えぇ、めっちゃ高い)))」
「でも、君は日本人で、僕は日本人が大好きだから50元で良いよ!」
「本当に!?50で良いの?(((んーでも、他の宿の相場が分からないしな・・・渋々)))」
「どうしたの?他の宿?どこも同じ値段だよ。一泊150元。」
「(((そうかーだよなーもうここにするしかないか。)))」
「何を迷っているか僕には分からないけど、ここに泊まりなよ!もうタダで良いからさ!」
「えぇ!?タダで良いの?」
「もちろん!I present this room with you!!」
「Thank you!!」
「Thank you じゃなくて、ありがとうって言ってほしいな笑”」
「ありがとう!」

稲城亜丁村で、宿スタッフの通称Bearとの会話。

今回は、中国後半で行った稲城での話。

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世界で一番標高が高い場所にあると言われている稲城亜丁空港に着いたのは午前9:30。
この空港は2013年にできたばかりで、町へのアクセスやその他諸々の情報が皆無だったので、
正直不安だらけだった。
でも、そこは中国。抜かりが無い。空港の目の前には駐車場といくつかのタクシー。
周りには、綺麗な鞄や服を着た中国人ばかり。多分、海外からの旅行者は自分だけ。
チベット系の顔立ちの運ちゃんらしき人に話しかけられたので、行き先と値段を聞いてみる。
乗り合いで1人50元。まぁ距離を考えれば妥当な値段と思い、運ちゃんの車へ。
荷物を詰め込み、同乗してくれる他の人を待つ間、周辺を散策。
空港は2013年に完成したとあって外観がとても近代的だったけど、
周りが岩だらけ草だらけだから、そこだけ浮いて見えた。

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稲城市内に移動。最初に到着したのが、外国人用のユースホステルだった。
でも、今日中に撮影場所である亜丁自然保護区近くの宿にチェックインしたかったので
2つのバックを体の前後に背負い、町中に出る。
地球の歩き方や稲城を旅行した人のブログによれば、市内のどこからか亜丁自然保護区手前の
チケットカウンターがある香格里拉鎮まで乗り合いバスが出ているはず。
地球の歩き方に書いてある距離がかなりデフォルメされた地図を見ながら、
とりあえずバスターミナルと書かれた場所へ行ってみる。

15分後・・・。

それらしいものはない。むしろバスも見かけない。
近くにあった広場で途方に暮れながら悩んでいると一人の男が話しかけて来た。
「お前、香格里拉鎮(シャングリラ)に行かないか?」
ええ、行きますとも。
最近思ったのだけれど、自分は雨男で天候には恵まれないけど
人との出会いの運は持っているんだと思う。

男についていくと、そこは先ほど通った大通りの脇で一台のワゴン車が止まっていただけだった。
「これで行くんだ!乗り合いで1人50元だから!」
それから出発までに1時間待たされたのはご愛嬌。むしろ乗り合いだからしょうがないと思いつつ、
コンビニで昼ご飯を買ったり、その男の同僚らしきチベタンと話しながら同乗者を待った。

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同乗者はおばちゃんばかりで、中国語がわからない自分に対してガンガン話しかけて来たけど、
ほんの少し英語や日本語で会話できる人もいたり、自分からノートに漢字を書いてみたりして、
何とかコミュニケーションを取っていた。それは、それで楽しかったように思う。

香格里拉鎮で明日からのチケットを購入。チケット自体が3日間有効という事もあって、
その日は香格里拉鎮に泊まったが翌朝早くにホテルを出発して亜丁村を目指した。
亜丁村やその先の保護区に行くには、香格里拉鎮から出ている周遊バスに乗れば良い。
値段は120元。3日間有効なのでどこから乗って降りようが関係ない。
片道1時間の道をひたすら走る。途中、山が見えると運転手に言って車を止めてもらい、
乗客皆で景色を堪能した。

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亜丁村での宿の予約はしていなかった。一応、香格里拉鎮のカウンターで収集した情報によれば、
村には8つくらい泊まれる宿があると言っていたので大丈夫だと思っていたし。
ただ市内で出会った最近亜丁から帰って来た欧米人から、
「あそこには宿はいくつもあったけど、皆中国人で埋まっていたわ!」
と聞いていたので少しだけ不安だった。
でも、それはいつものことでやっぱり直接行って聞いてみないと分からない。
これは旅を通して身に付いたことだけど、
どんな宿でもバックパッカーや安宿を求める旅行者のために
それなりの部屋を用意している所は多い。
そして、こういう時は地元のドライバーに聞いてみるのが鉄則なのだ。

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亜丁自然保護区へ出かける。
滞在は4日間。

こうして後半戦最後の撮影が始まった。

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「中国の終わりが君のゴールな訳じゃない。」
確かにそうだ。もちろん自分でもそう思っているし、
自然を撮影する以上もっと時間をかけるべきだとも感じている。
ただ今はやり切ったというより、やり残したことの方が多い。
写真に写っているのは、今の自分以上でも以下でもない結果だけ。

自分は、それをどれだけ感じることができたのだろうか。
自分は、それをどれだけ知ろうとしたのだろうか。
自分は、結局それをどう理解したのだろうか。

手法になんて意味は無い。ようは、自分がそれの何を写真で表現したいかということ。

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明日、マレーシアへ行きます。