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2014年6月岸本 絢

どっちかというと緑に近い青が好き

7ヶ国目、インドはムンバイへとやってきました。
久しぶりに見る都会の街並に圧倒されている自称シティガールの岸本です。
インドの熱気にも負けず元気にやっています。
今回は、昨日までいたコルカタでのお話を。
コルカタは1858〜1947年までイギリスの植民地下にあり、当初はカルカッタと呼ばれ1912年まで首都として栄えていました。この街にはその時代に建てられたヨーロッパ新古典主義の建築物が多く残っています。
多くの西洋建築が古い姿のまま残されたコルカタは、インドを日本に例えるとすると、大阪のような街。首都デリーやムンバイが東京のような都会だとすると、その次に来るのがコルカタ。規模的にも大阪なのですが、この街にいるベンガル人というのはフレンドリーで世話焼き、お節介なところも多々。まるで大阪のおばちゃんみたいなのです。ちょっと道に迷っていると目的地まで無償で連れてってくれるし、手招きされたと思うとチャイ飲むか?とタダで奢ってくれる。これ、飴ちゃん食べへん?とカバンからキャンディーを出してくれる、実家の近所の商店街のおばちゃん達と大差ないです。
もちろん油断は禁物。しれっと嘘をついたり(本人たちは嘘をついている自覚がないことも多い)、平気でぼったくったりと先入観通りのインド人パフォーマンスもしっかり見せてくれます。けれども、いい距離を保ちながら付き合って行くと、愛くるしい人種に思えてきてなかなか嫌いになれません。インド、案外悪くないんです。
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そんなコルカタでの撮影は、毎朝日の出る少し前に起きて開始します。
眠い目をこすりながらホテルを出て少し歩くと、ニワトリが大量に売られているチキンロード(仮)があり、明らかに観光客である私にもトリサンを勧めてくるインド人達を押しのけ早朝の道を進みます。すると地元の人たちに人気のチャイ屋があるので、一杯5ルピー(8.5円ほど)のを買って地元のオヤジたちとお喋りしながら飲んで目を覚まします。事前に調べていた建物へ向かいつつ、その他にも良い被写体がないか探しながら毎日違う道を歩いての撮影。早朝は人通りが少なく、建物を撮るにはもってこいの時間。またキレイな朝方の光を狙うのも早起きして撮る利点です。
とはいえ私が到着した3日ほど前からモンスーンが到来しており、晴れたのはたった1日だけ。あとは雨か曇り。曇りといっても、形の判別もつかないくらい分厚い雲に覆われた、どんより空。タイポロジックな作品にしたい訳じゃないのに、こればかりはどうしようもありません。良い被写体が多くあっただけに、少し後悔の残ったコルカタ撮影でした。
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いつものチャイ屋。最後の方には店のおじさんにタダで飲ませてもらえるまでに!
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飲んだあとのチャイカップはその辺に落として割るのがローカルルール
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この旅で最も楽しみにしていた国インド、そしてコルカタ。
実際に訪れてみても、フィールドワークで訪問した国の中で一番心の躍った街でもありました。感じることも、思うこともたくさんありました。街は活気に溢れ、生きていることを感じさせられる。道端ではネズミがカラスについばまれていて、店先では人によってニワトリが鶏肉になっていく。轢かれた子犬を眺める子供たち。その目の前の市場では魚、野菜が大量に並べられている。リキシャーを引く人がその横を駆け抜ける、犬も猫も牛も山羊も人と同じ道を歩いていく。そんな日常の繰り返しを何百年も隣で見てきた建築物。それらに染み付いた空気があり、積もる時間がある。捉えるにはあまりにも大き過ぎるこの被写体を、またこの場所に立ち会った感覚を、どうすれば写真に落とし込めるか、なんて考えながら眺めていると、アンバサダーの黄色いタクシーにクラクションを鳴らされて、コルカタの今に引き戻される。
思いの外、早く過ぎて行ったコルカタ滞在の日々。人も街並も、その空気も、良い部分も悪い部分も全部含めてすごく好きになった街。色んなことを吸収させてもらった気がします。明日からはムンバイの撮影が始まり、インドも後半戦。気を抜かず、全力で撮影を楽しみたいと思います!
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